転職の面接で「おっ」と思われる交渉術 ~主導権を渡さないために~

  • 2018.6.27
  • 人事・採用

今やビジネスマンにとって当たり前の選択肢の一つとなった「転職」。この記事をご覧の皆様の中にも、既に転職をご経験された方や、現在検討されている方もいらっしゃるでしょう。
転職において避けて通れないのが面接です。好条件の職場への転職を実現するための、一味違う面接のノウハウとはどんなものでしょうか。

転職したい気持ちはあっても、面接に苦手意識があったり、過去の面接での失敗がトラウマになっていたりして、一歩を踏み出せないという方も少なくないかもしれません。
「上から目線で評価される感じが辛い」「機械的な対応をされてプライドが傷付く」……。職務経歴に自信をお持ちの方であればあるほど、他の人達と一緒くたにされてドライな扱いをされたくないという気持ちも強いかもしれませんね。

 

実際問題、圧迫面接とまでは行かなくても、機械的でおざなりな面接をしてくる会社というのは世の中に何割かはあるものです。
そうした会社が相手ではどうしようもありませんが、しかし一方で、応募者の一人一人と真剣に向き合い、求める人材像との合致を真摯に見極めようとしている会社ももちろんあります。
熱意を持って真剣に向き合ってくれる面接担当者が相手であれば、その面接は、一種の「交渉」の場になりえます。一方が他方を品定めするのではなく、人と人が対等に向き合い、互いの満足できる価値の創出のために力を尽くすのが「交渉」です。そうした場でなら、交渉術の考え方を有意義に活用できるでしょう。

面接は、会社側が「上から目線」で候補者を「選ぶ」場である――。そうした考えに凝り固まっていると、どんなに素晴らしい会社の面接を受けに行っても、あまり良い結果は出せないかもしれません。
どんな交渉でもそうですが、有意義な交渉とは、相手と対等な立場で向き合うところから始まります。人事に力を入れている会社の面接担当者は、そのことをよくわかっていて、応募者を一人のビジネスマンとして尊重し、対等な話の場を設けるという心構えで面接に臨んでいます。相手がせっかくそうしてくれているのに、自分で自分の立場を下げてしまってはもったいないですよね。

 

どうすれば、相手と対等な立場でいられるか。ここで交渉術における「主導権」の考え方が活きてきます。

 

交渉では、自分の欲しいものを先に見せてしまうと、たちまち相手に主導権を握られてしまいます。
家電量販店などで値切り交渉をする場合を考えてみると分かりやすいでしょう。交渉上手な人は、いきなり「この商品は金額が高いから安くしてよ」と切り出したりはしないものです。この商品の機能面はどうなの、とか、もう少し小回りの利くサイズはないの、とか、何かしら価格以外の部分を細かく話題にしていってから、自然に「じゃあ、この点とこの点は妥協するから、少し金額をおまけしてよ」と切り込むのが、上手い交渉の仕方というものでしょう。もちろん、値引きが目的なのはお店側だって分かっているのですが、客側がそれを表に出していない以上、「値引きは無理ですよ」と先回りして主導権を握るのは難しいのです。

 

自分の欲しいものはギリギリまで伏せておいて、相手側からの歩み寄りを引き出す。相手に主導権を渡してしまわない。この鉄則を念頭に置いて、転職の面接の光景を思い浮かべてみましょうか。

志望動機と合わせて、どこの会社の面接でも必ずと言っていいほど聞かれるのが、前職(現職)の退職理由です。
そして、多くの方は、ここで前職(現職)に関するネガティブな内容を口にしてしまいがちです。「前の職場は給料が……」「労働時間が……」「休日数が……」。退職理由を問われて正直に答えたくなる気持ちはわかりますが、こうした受け答えがよろしくないのは、先の「主導権」の話からいっても明らかです。

 

前職(現職)の不満点を述べるのは、値切り交渉の話でたとえるなら、「この商品は値段が高すぎるね」と言うようなものです。この瞬間、相手には、自分の欲しいものを見透かされてしまいます。
転職を望む理由を問われて、前の仕事の不満点を答えることしかできないのでは、面接担当者には「前職の条件が不満で転職先を探している人」としか見られず、魅力を感じてもらうことはできないでしょう。それどころか、「給料や労働条件が前より良いというだけの理由でウチを受けに来たんだな」と思われてしまい、それ以上の有意義な話をすることができなくなってしまいます。
欲しいものを先に見せてしまうと、その時点でもう対等な立場にはなれないのです。

 

では、どんな受け答えをすればいいのか。
既に前の職場を辞めてしまった方には使えない方法ですが、ここは敢えて、「現職に何ら不満はありません」「転職すると決まったわけでもありません」と答えるのはどうでしょうか。現職も決して悪くはないが、今より更に自分の能力を活かせる場を探している――という自分を演出するのです。
現職の不満点を述べる場合と比べて、これならば、欲しいものを見透かされることなく、会社側と対等な立場に立つことができるでしょう。それだけでも他の応募者とは差を付けられそうです。その上で、改めて、その会社に感じている魅力を志望動機として語るといいでしょう。

 

このように、転職の面接という、普段「交渉」とは考えていない場にも、交渉術の基本は応用できます。
交渉は人生の全ての場面で役に立つもの。皆さんの転職活動の成功を心より願っております。